能「小鍛冶」(こかじ)

本日は「のうのう能」というものに行ってきました。
これは能の普及のために催されている能講座&特別公演でして、年4回行われています。私とRちゃんは今回が初。これから毎回参加する予定です(笑)。
これとは別に「のうのう講座」というものも矢来能楽堂ではおこなわれておりまして、定例公演に合わせて事前に、能の題材となった事柄や演出などについての講座を受けることができます。で、ちょっと知識を得たところで能そのものも見てみましょう、となるわけですね。
定例公演は「定例会」というだけあって毎月あります。講座と公演は当然、別料金です。開催日も違います。なので、とても興味はあるのですが、今のところ「のうのう能」だけにしています。今後どうするよ、Rちゃん?(笑/思い切り私信)
さて、初ののうのう能。すごい、満員だ。平日の夜に、みなさん楽しそうにやってきましたv 結構若い人も多いです。うれしいvvv
まずは解説から。講師は観世喜正(かんぜよしまさ)さんです。うわ、これまた嬉しいv
能を知り、楽しんで欲しい、という講座ですので、たいへんやさしくくだけた調子で話してくださいます。ひじょうにありがたい。
そして、一方的に話されるだけではなく、ちょこっとこちらも参加する部分があります。
「さぁ、みなさんで謡ってみましょう」
というわけで、能の一部を(ほんのちょっとだけですが)謡います。うふふ。
もちろん、最初に喜正さんがお手本を謡ってくださいます。これがね、もう~~、惚れ惚れしちゃういいお声!
喜正さんはシテ方なので、たいてい面をつけて舞台に立たれます。そうするとどうしても声がこもるんですね。私は何度か喜正さんの能を見たことがあるはずなのですが、こんなにいい声だったとはついぞ存じ上げませんでした。すみません、惚れ直しました(笑)。
それから、今回は能の装束の着付けの実演もありました。
着付け前の姿で能舞台に立たれたときにはちょっと笑っちゃいましたが(結構情けない姿なのです/笑)、衣装の特徴や工夫などがたいへん面白く、うまくできてるなぁと感心することしきりでございました。
そして、20分間の休憩を挟んで、いよいよ「小鍛冶」の上演です。
■小鍛冶■あらすじ
一条院の御世のこと。帝は「三条の小鍛冶・宗近(むねちか)に剣を打たせよ」という夢を見ます。
宗近は名工と名高い小鍛冶で、帝は早速使者を立て、宗近のもとへと向かわせます。
ところが、宗近はできないという。なぜなら、良い剣を鍛えるには打ち手と同等の技量を持った相槌(あいづち=相方となって槌を振るう者)が必要ですが、今はそのような者がいないからです。
話はわかるが、なにぶん帝の仰せ、しかも夢によるお告げによるものです。とにかく支度にかかるようにと宗近に言い聞かせ、使者は帰っていきました。
不安な宗近は、それでもひとまずは日頃から信心しているお稲荷様へと出かけていきます。すると、その途中、一人の童子に出会います。彼は宗近の名を呼び、今彼がどんな状況であるかを言い当てます。不思議に思った宗近はなぜ知っているのかと尋ねますが、少年はそれには直接答えずに剣というものの神聖さを語って聞かせます。そうして、ともかく今は祭壇を祀って助けを待つようにと言って立ち去りました。
宗近は言われたとおり仕事場に祭壇を設け、鍛冶の準備をして相槌を待ちます。そうすると、驚いたことに稲荷明神が狐の姿で現れ、相槌をつとめてくれるのです。
二人は壇に上り、ちょう、ちょうと剣を打ちます。剣は見事に打ち上がり、表に「小鍛冶宗近」、裏に「小狐」と銘が刻まれました。
勅使に剣を捧げると、稲荷明神は雲に飛び乗り帰っていくのでした。
筋はとっても簡単でしょう?(と喜正風に言ってみる/笑)
前半はあまり動きがなく、事前の講義で言われたように、
「ちょっと寝ちゃって起きてみたら(舞台の上はみんな)寝る前とおんなじ格好だった」
という感じです。いえ、私は寝てませんよ。地謡の聞き取り練習にはもってこいですよ、と喜正さんがおっしゃってたので、ちゃんと練習してましたから(笑)。
打って変わって後半はひじょうに動きの多いにぎやかな曲でした。
なんといっても稲荷明神が絶妙!
すごく楽しそうなんですよ。なんていうかな、とても「相槌やってみたかったのね…」と言いたくなるような雰囲気を持って現れるのです。
ずっとこのときを待ってた? むしろやりたいばかりに帝に夢を見させたんじゃ?! とかね(笑)。
ちょうちょうと剣を打つ場面は不思議とリアル。動きの強さ激しさに思わず笑顔になるのでした。
一方、宗近もかなり目を引きました。剣を打つ準備をし、祭壇の前で眉間に皺を寄せて一心に祈るまじめさ、真摯さがすっごくいいんだ。一緒に祈りたくなります。
そしてこの剣、「小狐丸」と名づけられます。かわい~い♪
機会があったらまた見てみたい一曲でした。

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